L'Oiseau bleu

「青い鳥症候群」と名付けられた精神科医の著書の中で提唱された概念があります。現実と現実とのギャップに不満を感じて極端に理想を求める若者の行動とのことです。

「この作品はもっといい表現ができるはず!」と青い鳥を追い続けてしまう私は、「いい年して青い鳥追ってる!病気だ」なんて言われてしまわないか、いつもドキドキしています。

この症候群は、果たして、治すべき病気なのか?
そもそも薬で治る病気なのか?
初めてこの言葉を聞いたときに生まれた疑問でした。

この症候群に限ったことではありませんが、自分の常識を超える人や事象に直面したときに、未知である不安を既知の安心に変えるためであるように見受けられる流れは少なくないと思います。

「青い鳥症候群」の兆候がまるでない人はどうであるかと考えると、それはまた希望がなく無気力。
私たちは、常に「私たち」であることを望み、個性的ですら既知の域を出ない、中庸であることが美徳と考える節があります。

本当は「私たち」は幻想に過ぎないですし、ほとんどの色がRGBで見ると青の要素を持つように、多くの人が社会的には見せない自由すぎる気持ちを持っているのではないかと思います。
その青を暴いてしまえ! そんな作品群です。

「隠れ青」は、電子工作の仕組みの部分が作品の主になります。物体の色を判別して、青の要素があると音がなる仕組みです。

「中身は青」は、一つの画像を不透明な木材と透明なアクリルに印刷しています。元々の色は青。お化粧をして白く見せています。

「青を帯びる」は、光源や角度により削った部分に色が見えるアクリルの作品です。

「青に囲まれる」は、1面のみにプリントをした立方体アクリルが主役です。あらゆる角度から覗き込んでみてください。ところにより、青に囲まれてしまいます。